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【要旨】

講師:阿部悠季先生
『和漢名人用筆図録』宮内徳應の手稿
(画家に合わせて作られたオーダーメイド筆)

筆は、作家の精神や感性を画面に表現する「手」の役割をする物であり、「良い筆を選ぶことは良い作品を生み出す重要な条件である」と言っても過言ではありません。今回の講座は美術科1,2,3年生を対象として、東京・上野の清晨堂 阿部悠季先生に筆製作のご指導に来ていただきました。原料の精製から仕立てまで全てご自身の手で行っている、現代では数少ない筆の職人の方です。筆の構造や製作手順の紹介の後、筆製作を実演していただきました。生徒たちは面相筆の一部製作工程を体験し、普段何気なく使っている筆は、製作者が目指す絵画表現を可能にするだけでなく、時として作家の想像をも超えた新しい表現を生み出す力を持つ大切な道具のひとつであることを実感することができました。もの作りについて興味関心を持つと共に、描くことへの感謝の気持ちや、道具の使い方や活かし方、ものを大切にする心を育てる機会となりました。

 

【講義内容】

[1]絵を描く筆の話  

 (1) 筆の歴史
①毛筆の種類         ②現存する世界最古の毛筆
③現存する日本最古の毛筆   ④現在の日本画筆の成り立ち

原毛を紹介している様子

⑤宮内得應(阿部先生の高祖父)が作りだした代表的な日本画筆

・長流…代表的な付け立て。川合玉堂の塾名、玉堂が愛用したといわれている。

・削用…橋本雅邦が、使いやすくするため、筆の毛を削っていたのを見て作られた。橋本雅邦命名。

・則妙…柔らかくて、なかなか思うような線が引けないが却ってその線に「則ち(すなわち)妙がある」という意味。橋本雅邦命名。
・蓮筆…ある画家が筆を何本が縛って使用していたのを、徳慶がみて考案されたとされる。刷毛とはまた違う描き心地で面塗りができる。
・面相…極細の線描筆。油彩画家、レオナルド藤田も使用。

(2)清晨堂の成り立ち…岡倉天心とフェノロサが東京美術学校(現在の東京芸術大学)を設立。その門下の画家等(橋本雅邦、狩野芳崖等)と宮内徳應が様々な筆を考案し、近代日本画の歴史を陰から支え続けてきた。清晨堂は徳應の筆づくりの精神・技術を唯一東京の工房で受け継いでいる。

(3)原材料の紹介…日本画筆には様々な動物の毛が用いられ、1本の筆でも数種類の毛から作られている。・いたち(いたち・てん・コリンスキー)・羊・狸・馬・猫・リス・鹿 など

 

(4)製造工程紹介…日本画筆の工程には非常に長い工程を要します。

 

[2]面相筆の製作実習  

(1)糸かけ  (2)チャン付け (3)焼締め (4) 面相筆の完成
穂首に糸かけをし、「尾じめ」をする 穂首の後ろに、松ヤニと木蝋を溶かした接着剤
「チャン」をつけ、焼きゴテを素早く当てて根元を焼き締める。

[3]筆の試し書き  

清晨堂製の様々な種類の筆と墨を使って、『命』をテーマに体全体で表現していきました。
(各学年、幅約1メートル、長さ10メートルのロール紙4本分の大画面)

友達が描いた線と重なり合い様々な線の表情が生まれた。 墨で足の裏も真っ黒に 様々な筆の描き味を楽しみ充実の笑顔!

[4]筆の手入れ方法…水や絵の具に付けっぱなしは厳禁。筆の根元に絵の具・膠成分を残さない様によく洗い、穂先を下に吊して乾燥させるとよい。一度使った筆はキャップをしないこと、蒸れてしまうと毛が痛んでしまう。丁寧に扱えば長く筆を使うことができる。

【生徒の感想】

  • 実際に筆になる前の原毛を見るといつも何気なく使っている筆は動物の『命』が宿っているということを痛感した。また職人さんたちが筆作りに情熱と愛情を持って製作されている事を知ることができた。筆には職人さん達の『心』が込められていて、なんて神聖なものなのだろうと感動した。
  • 1年生のころから憧れていた連筆をつかって試し描きをした。想像以上になめらかで、今まで体感したことのないふわっとした筆の運びができ、楽しくて思わずいたるところに筆を運んで描いた。
  • 試し描きでは今まで使ったことのない種類の筆を使わせていただいた。太い筆で長い線を沢山描き込み、多様な線の交わりを作って命を表現した。みんなが一斉に描いていく様子は墨が生命の鼓動を繰り返しているようで、この瞬間が命そのものだと感じた。
  • 「筆製作の中で、ぎりぎりOKかな、という時もあるけれど、自分のやったことは後から結果として自分に返ってくるので、迷うくらいならやり直すことにしています。」という先生の言葉が心に残った。これは、制作や勉強、普段の生活や社会に出てからも通じる大切な考えだと気付くことができた。
 
2016年09月09日
 
 

 

 
 
 
 
 
 
   
 

 

 

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